特有の仲間たち
2025/1/7
Write Lightに今月仲間入りした6冊は、それぞれ特有感あふれる作品です。
まず、三月みどり先生の『グッバイ宣言』。大人気のボーカロイド楽曲『グッバイ宣言』を制作者のボカロPであるChinozoさんが完全監修し、三月みどり先生が青春ストーリーとして纏め上げられました。歌だけでは感じ取ることが難しい心の機微、魂の叫びが込められています。
続いて壱日千次先生の『全力回避フラグちゃん!』。YouTubeで大人気のPlottアニメ『全力回避フラグちゃん!』のノベライズです。何の取り柄もない男、モブ男が死亡フラグを立てるたび、「立ちました!」の決め台詞とともに現れる謎の女の子、死亡フラグちゃん。その正体とは? ドタバタギャグコメディ展開とシリアス展開を同時に堪能できます。
続いて和ヶ原聡司先生の『エルフの渡辺』。悩める高校生・大木行人と魅力的な美少女・渡辺風花を主人公とする学園ラブコメテイストの作品です。しかし題名でネタバレしている通り渡辺はエルフのため、ちょっと不思議な現代日本が描かれており、ただのラブコメではありません。ライトノベルらしいライトノベルです。
続いて榮織タスク先生の『銀河放浪ふたり旅』。副題に『宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します』とあり、冤罪によって投獄されたものの地球人類滅亡に伴い刑期を終えた扱いとなったカイト・クラウチと刑務官兼生活支援ロボットである知的機械のエモーションがお互いを最高の相棒として宇宙を冒険するスペーススペクタクルファンタジーです。スケールの大きい題名に負けない濃厚緻密なストーリーを楽しめます。
続いて茶辛子先生の『エンバーミング・マジック』。副題に『魔法を殺す魔法』とあり、主人公は破壊の魔法以外が下手な斬桐シズキ。彼は目の前で撥ねられた少女、家入ナギを助けるために禁忌と知りながら魔法をかけた結果、ナギを猫に変えてしまいます。ファンタジーとしてただひたすらに純粋でありつつも、愁いを帯びたシズキの感情やどこかちぐはぐなナギとの関係など、関係と感情の交錯。ヒューマンドラマチックな展開も魅力です。
最後は藤崎珠里先生の『精霊つきの宝石商』。過労死してしまった20代の会社員エマが5歳にまで若返り異世界に転生します。宝石店の店員クロエに親代わりとなってもらい、成長したエマは宝石店の2号店を任され、宝石の物語を紡いでいくことに。過労死して転生というトラックに撥ねられる次くらいにベタな転生事由ですが、先が読めない展開と美しい宝石の描写が魅力です。題名から「精霊に愛された宝石商」ということまでは思い浮かんでも、なぜ、どのように、など想像を膨らませながら読み進める楽しさもあります。
ボーカロイド楽曲やYouTubeアニメなどメディアのノベライズ、学園ラブコメ、スペクタクルファンタジーにヒューマンドラマに転生もの。小説は全て唯一無二の物というのは大前提ですが、この6冊は独創性により独立している状態が特に抜きんでている、と個人的に感じたため、初めてにはふさわしいのでは、と思い今月仲間入りしてもらいました。
さあ、次回はどんな魅力的な仲間たちがやってきてくれるのか……乞うご期待!